乱華Ⅰ【完】
…で?
結局何が言いたかったの?
俺元族だから許してね的な感じだろうか?
首を傾げ梶さんを見れば、ちょうどこちらに振り返ってパチリ目が合う。
「アイツらあんなんだけど、心ちゃんには心開いてるから」
“あんな焦った颯人久々に見たよ”続けて私の頭に手を置いた。
「………」
「ま、これからもよろしく頼むわ」
無言の私を余所に豪快に笑って梶さんは、ビールを未だ振り回すタクの元へと歩いて行った。
梶さんの言葉に少しだけ、心が暖かくなった。
こんな私にでも、そう思ってくれているんだと。
颯人達を見て、ふと宮地の言葉が頭に浮かんだ。
“居場所は見つかったか?”
答えはまだ出ないけれど、ここが…乱華が、そういう場所になればいいなと思えた夜だった。