乱華Ⅰ【完】
eleventh
「…寒い」
「オメーは寒がりすぎだろーが」
「…うるさい」
寒いもんは寒いんだよ。
あの暴走から数日後。
タクと昼休みに珍しく現れた修と3人、屋上にいたりする。
この広陵高校という所は小綺麗で校舎も教室も割と新しかった。
だけどここに関しては特に何もない、いわゆる普通の屋上。
コンクリートからの吹き返しの風が寒いからかなんなのか、私達3人しかいなくて。
まぁ、あんな視線に曝されないだけマシか、と思う事にしよう。
食後のホットレモンティーを口につけ、ほっと一息。
だけど…
「…寒い」
「はぁ、お前これでも着てろ」
ビュウッと吹いた風は一際冷たくって、同じ言葉を吐く私にタクが顰めっ面しながら、その上着を私に投げつけてきた。
投げんじゃねぇよ!
いつもなら言いたい所だけど、暖かい上着を提供してくれるタクに文句は言うまい。
「寒ぃーんなら戻るか〜?」
タバコの紫煙が風に乗り、遙か彼方へと飛んでいく。
こんな年で環境汚染をやってのける修に「んー…」言葉を濁した。
時計はまだ12時45分。
昼休みは始まったばかり。
どうしようか迷う間にタクの携帯が鳴った。
それに1言2言呟きパタン、携帯を閉じて乱暴にそれをポケットへ仕舞う。