乱華Ⅰ【完】
「………」
「…心さん」
「…さんとかいらないから」
同じ教室にいたんだから、同い年って事でしょう?
さんなんてつけられる程私は偉くなんてない。
スタスタと歩く私の少し後ろから、ピタリくっついて歩く男にうんざりしながら口を開いた。
「トイレ、行くだけなんだけど」
「でも、修さんに頼まれたっスから」
「………中にまで入って、くるの?」
放課後、閑散とした廊下。
5限で終わった今日、結局タクも修も戻っては来なかった。
正宗から梶さんを向かわせる旨の連絡をもらい、待つこと数分。
目的地、女子トイレの入り口でくるり振り返れば戸惑いの色を浮かべたカラフルヤンキー。
「…ここで待ってるっス」
流石に中にまでは入ってこないらしい。
それを一瞥して女子トイレのドアを開けた。