乱華Ⅰ【完】
「もう一回聞く。目的はなんだ」
更に力を込めれば痛みに顔を顰めながらも、その挑戦的な瞳は変わらない。
「……さぁ…な」
男がブッと口から吐き出した血が、俺の制服の裾に飛ぶ。
…上等だ。
肩にめり込ませた足を高く持ち上げれば、重みから解放された男は肩で息をする。
「正宗…やり過ぎんなよ」
俺の肩に手を置いたタクに目で大丈夫だと言い、その高く持ち上げた足をそのまま何の躊躇いもなく男の背中に振り落とした。
ガンッ
あまり気分のいいとは言えない音が鈍く響く。
「…やりすぎだろーが」
「普通だろ」
ピクリとも動かなくなった男を一瞬チラリと見下ろしたタクに言えば聞こえたのはため息。
そのため息に男から顔を上げ、タクの視線の先を追う。
「やってくれるじゃねーか」
次から次へと。
どんだけいるんだよ。