乱華Ⅰ【完】
道を塞ぐやたらとゴツめの男達。
自分の仲間が俺達の後ろで倒れているというのに、下品な笑みを浮かべ殴りかかってくる。
それを避け、急所に拳を打ち込めばドサリ呆気なく倒れた。
次々に殴りかかってくる奴らはハッキリ言ってキリがない。
チラリと見たタクは欠伸をかみ殺し、ダルそうに前の男達を見据える。
「…お前ら目的はなんだ」
「わかってんだろ佐伯心を渡せ」
「渡せっつってハイどうぞなんて言わねーんだよ。俺はさっさとアイツのお守りしなきゃなんねーんだ。修に任せてたらアイツが妊娠すんだろーが」
するわけがない。
いくらなんでもそれはないだろ。
タクは男の拳を軽やかに避けながら、蹴りを繰り出す。
その動作に隙はない。
しかし、やっぱり心ちゃんが狙いか…
「よそ見してんじゃねぇ!」
ヒュッ
風を切る音がした。
目の前の奴が手にする妖しく光る銀色。
反射的に避けたが、掠った頬には一筋の赤い液体。
物騒な奴らだ。