乱華Ⅰ【完】
距離をとりながら、赤い頬を拭う。
「本間はどうした?」
「本間さんは関係ねぇ」
「……あ?」
「これは俺達が勝手にやってる事だ!」
ナイフ片手に突っ込んで来た男の手を蹴り上げれば、地面に叩きつけられたそれ。
カシャーン
音を立てて地面を滑っていった。
それを見届けて、男のみぞおちに一発、二発、三発喰らわせる。
よろけた所で、蹴りを顔面にお見舞いすれば勢い良く吹っ飛んだ。
「どういう事か説明しろ」
倒れ込んだ男の胸倉を掴み、引き寄せる。
息が苦しいのかなんなのか、喉からはヒュッ空気を吸う音が聞こえた。
「…」
「言え!」
「………」
タクも陽炎の連中をヤり終わったのか、横にしゃがみタバコに火をつける。
無言の奴を横目にタクがくわえるタバコをふんだくった。