乱華Ⅰ【完】


それを片手に男の胸倉を更に引き寄せる。



「目って火傷したらどうなるんだろうね?」



俺の手にあるタバコに視線を向け、目を見開く男に笑みが零れる。



横ではタクが「コイツマジだから」俺を指し残念な目を男に向けた。



「もう一回言う。どういう事か説明しろ」



シニカルな笑みを携えて、未だに見開いた男の目に少し近づける。








「これはお願いじゃない。命令だ。早く言えよ」


「わっわかった!」



固まったままの男とタバコの距離が5cmになった時、冷や汗を浮かべながら男が口を開いた。



「俺、お前だけは敵に回したくねーわ」


「そりゃどうも」



タクが2本目のタバコに火を点けながらぼやいたのを見て、目の前の男に視線を戻した。


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