乱華Ⅰ【完】







「ったくなーんで俺が買い出しなんかに行かねーとなんねーんだよ」


「うるさいココア」


「あ?」


「黙れココア」



梶さんが運転する車の後部座席でぼやくタクをココアと呼べば、運転席の梶さんがブハッと吹き出した。



はい。確定。
梶さんが笑いのツボ浅いの確定。



私とタクがうるさかったから(多分)正宗から買い出しと言う名の閉め出しを受けた。




タクのせいだから。
タクがサボりに来なかったら買い出しに行かされるなんてならなかった。



だからタクを嫌味でココアって呼んでやった。





繁華街に着いて車から出ればやっぱり寒い。
タクはダウンをしっかり着込んでスタスタと歩き出す。



「ちょっと待ってよ!」


「あ?何チンタラしてんだ」


チンタラなんてしてないわ!
タクが歩くの早いだけでしょ!!



ブーツで小走りしながらタクを追いかけていると



「きゃータクさーん!!」


久々に聞いた黄色い声援。


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