乱華Ⅰ【完】
タクはそのまま歩き出し暫くすると目的地のお店が見えて、正宗が注文してくれてたのかなんなのか、既に商品は袋詰めにされていた。
それを受け取り再び車に戻ろうとした時、それは起きた。
ドンッ!
「いたっ…」
誰かが後ろからぶつかり、私はそのままバランスを崩してその場によろめく。
タクに支えられてこけたりはしなかったものの、正宗から頼まれたみんなの昼食は派手に地面に転がった。
「おい、心大丈夫か!?」
「…うん」
「…」
無言のタクが見つめるのはぶつかった人が走り去って行く後ろ姿。
やけに難しい顔して眉間には皺が寄っていた。
「…大丈夫だから」
「あ、あぁ…」
地面にぶちまけた買い出しの品を拾いながら、私は手の中のものをさりげなく隠した。
それはたった1枚の紙切れだった。