乱華Ⅰ【完】
〜side.正宗〜
タクが心ちゃんを送って帰った後の幹部室。
けたたましく鳴り出した携帯電話は俺のもの。相手を確認して通話口に出た。
「どうした、蓮」
「また、こっちで陽炎がうろついてるって情報が入ったぞ」
相手は龍王の総長の蓮。
奴は開口一番要件だけを伝えて来た。
「知ってる」
カタカタとパソコンのキーボードを打ちながら蓮と話す。蓮は流石と電話の向こうで苦笑いを零す。
パソコンの画面には陽炎の奴らが繁華街に出没している画像が送られて来ていて、そんなに好戦的に陽炎がこっちに現れるのはやっぱり心ちゃんのせいなのか…
修はパソコンの画像を見て
「間抜けな獲物みっけたから狩って来るわ〜」
普段見せないシニカルな笑みを携えてルンルン気分で司と幹部室を後にした。
…あいつどんだけ暴れるつもりなんだ。
司はともかく修はエグい事するからな。
人の事は言えないけど。
「そういえば」
「なに?」
「あのT県の暴走族と陽炎繋がってるみたいだぞ」
それは最近勢力を伸ばしてきている暴走族で、確か総長がやけに頭のキレる奴だったっけか。
そんな頭のキレる暴走族とあの陽炎が?
あのやっかいな陽炎に変な入れ知恵なんてしてくれるなよ。
「ま、どんな繋がりかはわかんねぇけど、一応お前の耳にいれといた方がいいかと思って」
「あぁ、悪いなわざわざ」
「いや、お前も大変だな参謀」
「もう慣れたよ」