乱華Ⅰ【完】
「…お前は何むくれてんだよ」
学校に着いて後部座席から降りる寸前タクはやれやれといった感じで私を見やる。
なんでって言った!?
この隣のオレンジ今なんでって言ったの!?
なんで俺が折れなきゃなんねぇんだみたいな態度なわけ!?
「別にむくれてねーし。どーせ私は男っぽいですよー」
この雑な口調をタクから咎められるのは何度目か。
昨日もそうだった。
だけどね、私はこれを変えるつもりはない。
…それが今できる唯一の抵抗だから。
タクより先に後部座席から降りてスタスタと昇降口に向かって歩き出す。
「…男っぽいなんて言ってねーだろ」
後ろで頭をガシガシ掻きながらタクが呟いた言葉は私には聞こえなかった。