乱華Ⅰ【完】
このチャンスを見逃すほどバカじゃない。
相手は三人。
やらなきゃやられるだけ。
やるしかない。
ナイフを持った男を力いっぱい押しのけて、私の体を押さえていたガタイのいい男を思いっきり後ろに引っ張りその反動で地面に叩きつける。
そして残りの一人の男の鳩尾を正拳で突く。
マジで勘弁!!
こんな男を相手にするほど暇じゃないんだよ!
その場から素早く逃げようとしたけどそれは失敗に終わってしまった。
一瞬何が起こったかわからないって顔した男達が、一様に怒りを露わにした顔つきで私を取り囲む。
「てめぇ…よくも舐めた真似してくれたな」
地を這うような声を出したのは私に地面に叩きつけられたガタイのいい男で、女の私じゃ致命傷なんてもの与えられるはずもなく、ゆらり起き上がり制服についた砂埃を払いながら私に近づいてくる。
その顔は凶悪そのものだった。