乱華Ⅰ【完】
鋭利なそれが背筋にあたって私の肝を冷やす。
少しでも力を入れれブスリと刺さってしまいそう。
ナイフをつきつけられたらもう抵抗する事もできない。
そのまま私は体育館倉庫の中に放り投げられた。
ボスッと音がしたと同時に鼻孔をくすぐるのは埃っぽい臭い。
背中に伝った衝撃からして後ろにある冷んやりとしたそれはマットだろう。
自力で脱出する事は失敗に終わった。
助けを呼ぶ事もこの人気のない場所ではできそうにもない。
恐くないわけじゃないんだけど、それよりも頭を過るのはタク達は私がいなくなったの気づいたかな?とか、また颯人達に迷惑かけるな、とかそんな事ばかり。
一瞬体が解放されたかと思えば、すぐにさっきの男が馬乗りになってきて
「どーせ城戸達とも仲良くやってんだろ?」
下衆な笑みを浮かべたガタイのいい男。
その隣には最初と同じ金髪男が再びナイフを持っていて
その後ろにはビデオカメラを回している茶坊主の男が目に入った。
スカートから手を忍ばせて太ももを撫で回される。
男の手は冷たくてそれが触れる度に気持ち悪さがこみ上げてきた。