乱華Ⅰ【完】


授業が終わり休み時間。
しんとしていた教室は、ここでピリオドを打った。



「あーあっちぃ〜マジありえねぇー冷房効いてんのかぁ?ここはよぉ」



バァン



その音がピッタリだった。
勢いよく開いたドアの向こうには、オレンジの髪がキラキラと光って見える背の高い男。



ブレザーは肩に掛けて、シャツは腕捲りされていて、10月の半ばだというのに暑そう。



「ちょ〜っとタク、うるさいのよ〜ボリュームをさげな、ボリュームを」



その後ろには右手を耳に当て、左手で襟足まで伸びた髪をくるくると弄びながら、タクと呼ばれた男をうざったそうに見ている男の人。



一瞬にして教室内がざわつく。



「しゅ〜う〜、来るのおっそーい」


「待ってたんだからぁ〜」


「タクさん、修さんおはようございます」


「これどうぞ」



…そんな声が聞こえる。


< 21 / 294 >

この作品をシェア

pagetop