乱華Ⅰ【完】
男から与えられる不快から逃れようと身体を捩らせても、上に乗られていて思うように動けない。
「…やめっ」
「うるせーよ、おい手拘束しとけ」
パンっと乾いた音が響く。
やめろって言い終わる前に殴られ、ナイフを持った金髪男に頭上で手首を拘束された。
殴られた頬がジンジンと熱を持ち、お腹の痛みとはまた違い、そこが心臓になったみたいだった。
片手は私の胸の辺りを撫でていて、反対の手は休む事なく太ももお腹と這っていて…
気持ち悪いのにその行為に勝手に身体がビクビクと反応する事が屈辱的で、生理的な涙がうっすら瞼に浮かんだ。
首元に顔を埋められそこに痛みが走る。
私の感情を一切無視して、体の自由を奪われ一方的にされる行為が…初めて恐いと思った。
いよいよブラジャーのホックを外そうと背中に腕が周り、私の意思とは関係なく身体を起こされる。
「っやぁ!」
いよいよ恐怖を実感してきて、今にも泣きそうになりながら涙目になって抵抗する。
「チッ黙れよ」
「…んぐっ…」
あまりにも叫ぼうとする私の口に布を丸めて押し込められた。
本当にやだっ!
恐いっ!!
助けて!
助けてよ!!
脳裏で浮かぶのは絶対にここに来るはずもない男の顔。
その男の名前を心の中で何度も叫んだ。