乱華Ⅰ【完】
陽炎にこんな事して終わってると言った彼女。
その意見には同意するし、心ちゃんの真意は俺にはわからないけど、こんなことをされる子をこれ以上増やさないためなんじゃないか…?
強気な口調で男っぽいけどどこか儚くて、壊れてしまいそうな心ちゃん。
もしもそんな事になったら彼女はきっと自分を責めてしまうだろう。
「…チッ!」
タクは暫く考え込んでいるのか停止していたけど、男の上に置いていた脚を退けその怒りを壁にぶつけそのままこの場を去って行った。
「おい、タク…」
「…正宗」
俺がタクを呼び止めようとしたのと同時に、颯人が心ちゃんを抱きかかえたまま俺に近づいてきた。
近くで見れば見るほどに白い肌に反して頬は赤く腫れていてー…
…首筋には男がつけたと思われるキスマークが所々にあった。
それを見た瞬間にタクを止めた事を軽く後悔して、拳には無意識力が入っていた。
「白河麗奈、ここの三年」
「白河ってこの前の…」
「…あぁ。そいつが主犯だ」
あの、心ちゃんが失踪した時の主犯の女。
あの時ちゃんと警告したのに、それだけじゃダメだったって事か…
随分と俺らもナメられたもんだな…
「…俺は心を倉庫に連れてく、あとの事は頼んだ」
「…あぁ」
颯人は心ちゃんを抱きかかえたまま体育館倉庫を後にした。
…さて、この一件どうやって償ってもらおうか?
一度ならずも二度までも…俺らに楯突いた罰、受けてもらうよ?