乱華Ⅰ【完】
目が覚めた時の何とも言えない感覚。
あんな夢、見たくなかったのに…
もやがかかった視界が開けてまず目に入った天井。薄暗いけどここが自分の家じゃないってのはわかった。
……どこだここ!?
慌ててベットからもそり動こうとすれば、お腹に走った激痛。
「いっ…」
お腹に手を当てればそこには、薄く包帯が巻かれてあるのが服越しにわかった。
頬にも湿布が貼ってあって、誰かが手当てしてくれたのか…
それと同時に思い出す体育館倉庫での出来事…
…あんなに男を恐怖に思ったのは初めてだった。
ベットの淵に座って押さえつけられた時にできたであろう手首に残る痕を見つめていれば
「心!」
名前を呼ばれて顔を上げたと同時に視界も真っ暗になった。