乱華Ⅰ【完】
それは意識を手放す前にも聞いた声。
「颯人?」
颯人の腕の中は暖かくて私はそれにひどく安心していて…なんでなんだろうって困惑した。
「…悪かった」
「……え?」
ベットの上で抱き合ったまま、颯人は私の頬に手を滑らせて、切なそうな顔で見つめる。
そのまま私の口、顎、首と手を滑らせていきー…
「お前に、恐い思いさせた」
…それはさっきの事なんだってすぐにわかった。
私の手首を触りながら「痛かっただろ?」って聞く颯人に何も答えられない。
恐くなかったよ、なんて嘘言わない。
てか、言えない。
本当に痛かったし、恐かったけど
悪いのは、私。
一人で行動した私が悪い。
私一人で解決するんだって、颯人達に迷惑かけないんだって思ったのがそもそもの間違いで、結果みんなに迷惑かけた。
颯人にこんな顔をさせてる…
だから
「颯人は悪くないよ」