乱華Ⅰ【完】
颯人の手を握り返してジ、と瞳を見つめる。この想いが届く様に。
颯人が自分を責めない様に。
ううん。
颯人だけじゃない。誰も自分を責めない様にしなきゃ。
乱華から離れろって言われてももう遅い。
私が乱華のみんなと一緒にいたいって思ってるんだから、あんな理不尽な要求のめるわけがないじゃん。
まぁ、それがこの結果なんだけど…
あの麗奈って人の気持ちがわからなくもないけれど、レイプはいくらなんでもやりすぎ。
それを許せるほど私は人間できてない。
こんな思いはもう二度としたくないってのが本音だし。
「私こそ、一人で行動してごめん。…これからは一人で行動しないから…」
「…あぁ」
そこで私はこの話は終わりと言わんばかりに立ち上がった。
颯人が私の手を解放する事はなかったから、そのままの状態でこの部屋を後にした。
ちなみに私が彼女達に会う事は一生ないわけだけれど、彼女達が正宗によって広陵高校を転校させられた事を私が知る事はなかった。