乱華Ⅰ【完】



〜side.心〜



繁華街で私たちを下ろした梶さんの運転する黒塗りは、そのまま走り去ってしまった。




暖かい車内とは対象的にひゅうっと吹く風が冷たくて、身体が一気に冷める。
コートごと身体を縮めてみるも、さして効果はなし。




颯人は私の隣を歩いているけど、その顔は寒さなんて感じていないかの様に無表情。




…というか思ったんだけど颯人はここを通る時いつも無表情だ。
まるで周りを気にしていないかの様に。
まるで何も聞こえていないかの様に。






2日ぶりの繁華街だった。
だけどたった2日しか経ってないのに以前とはまるで違っていて




いや、こう黄色い声援(?)的なものは相変わらずなんだけど…



この前みたいな敵意むき出しな視線が私に注がれていない。
…どうなってんの?




不思議に思いながら辺りをキョロキョロと見渡して、たまたま目に入ったど派手な女の子の集団。
本来ならここですっごい睨まれるはずなのに、ことごとくあからさまに目を逸らされた。






…なんだよ。





…いや、別に敵意むき出しに見て欲しいわけじゃないけど、変わりすぎてて戸惑いがうまれた。



< 242 / 294 >

この作品をシェア

pagetop