乱華Ⅰ【完】




「…ねぇ、颯人」



急に立ち止まった私に気付いた颯人も、歩を進めるのをやめて立ち止まる。


私の呼びかけに返事はなかったけど、その目線が私の方へ向き、なんだ?と無言で言っていて




だから周りには聞こえない様に小さな声で疑問を口にした。




「なんか、おかしくない?」


「…なにがだ」



いや、なにがっていくら颯人でもわかってるよね?
無関心そうにしてても周りの事はちゃんと見てるでしょ?




何って口に出したらなんかチョット勘違いしてるイタイ女みたいになるじゃん。
口を閉ざしてどう言おうか迷ってたら




「何も気にすんな。行くぞ」



颯人はとぼけてるのかなんなのかポンと私の頭を撫でて再び歩き出した。





はぐらかされた感が満載だけど、その謎が解ける事がないままにゲンの前まで来た。


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