乱華Ⅰ【完】
「…大丈夫だよ。ちょっと野暮用でいないだけだから」
気にしないでと続ける正宗だけど明らかにおかしい。
だけどこれ以上何も話す気がないのか、私達が食べ終わったのを確認して正宗が徐に立ち上がった。
それに続いて修、司と続く。
思いっきりしこりの残った食事になんだか、モヤモヤが増した。
「…行くぞ」
「っわっ…」
いつまでたっても立ち上がらない私に痺れを切らしたのか、颯人が手を引いて歩き出す。
あまりに突然すぎて身体がぐらついたけど、強く引かれてそのまま私は颯人の胸の中。
「ご、ごめん」
「…あぁ」
何とも言えない顔。
一瞬何か言いたそうな顔をしたけど、何もなかったかのように身体を離して颯人はゲンを出て行った。