乱華Ⅰ【完】




彼はすぐに見つかった。




部屋に入るとまずドアの横の壁に凭れ掛かる修と目が合った。




修はいつも通りに咥えていたタバコをポトリ床へと落とし、一瞬びっくりした表情をしたがすぐに険しい表情へと変わる。



「お前なんでここにいるんだ?」と物語る目は鋭く冷えたもの。



私はそれには答えることなく部屋の中に視線をはわす。



「俺たち心配したんだぞ!なんでわかってくんねーんだよっ!」


大声を出したのは私よりも先に出て行った司で、その隣には正宗と颯人もいた。




3人は私に背中を向けているから、私がこの部屋に入って来ている事に全く気付いていない。




そしてその言葉を投げられたのは他でもないタクで…


いつもの姿からは想像できないような格好で座り込んでいる。
制服はしわくちゃで捲り上げた袖から覗く腕には擦り傷がついていて、拳からは誰のものなのか…ポタポタと赤いものが伝っていた。


それはあの廊下に横たわっていた人たちのモノなの…?



信じられないとタクを見やるが、颯人たちと対面しているタクと私の視線が交わることはない。




だってその頭は項垂れていたから…



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