乱華Ⅰ【完】



その声はこの部屋に自棄に響いた気がした。



「…んなのお互い様だろ」



その声の主に返事をしたのは颯人で、たった一言なのにその声色で一度緩んだ空気が、再びピリピリと張り詰めて行くのがわかった。




「…全くやってくれたよねぇ。オマエんとこのNo.2は。どんだけ潰されたと思ってんの?」


「知るか」


「んな事言うなって。実際こっちも頭きてんの。ウチのボス気が短いって知ってんでしょ?」


「あぁ。あいつねぇ〜」


「それはお互い様でしょ。こっちだって頭きてるわけだし」


「そもそも先に手出してきたのお前らだからな!」




やけに穏やかな喋り方をした男に対して修の間延びした声と、冷静な正宗の声と、いつも通りの司の声が聞こえた。



タクの背中に隠れてるからイマイチ状況が見えない。




ボスって何?
頭を必死にフル回転させて考える。


ボス=偉い人。
この世界の偉い人ってのはもちろん総長なわけで…こんな空気からしてまさかして、まさかしなくても…




「で、そのNo.2は誰を隠してるのかな?」


なんて思ってたら矛先がこっちに来た。
穏やかなままの喋りだったけど、ねっとりとした声に背中がゾクリとした。






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