乱華Ⅰ【完】
「…テメェ何がしてぇんだよ?協定破った挙句うちの仲間襲いやがって」
「ハッ協定なんざ前の奴らが勝手に決めた事だろ。俺が知るか」
目が逸らせなかった私からやっと颯人に視線を向けた本間省吾は、嘲笑を浮かべ言う。
「それに、心に執着して。“利用価値”って…何しようとしてやがる」
鋭く本間省吾を見据える颯人にぶっと吹き出したのは、本間省吾ではなく河野だった。
「あはは!無口の城戸颯人も今日はやけに喋るんだね。オマエどんだけこの女大切なんだよ。執着してんのは俺らじゃなくてオマエらでしょ?」
何が可笑しいのか、この場に似つかわしくない大爆笑をする河野。
その笑い声がやけに癇に障った。
「…お前本当ナマイキだねぇ〜あんまり俺らナメてっとそこら辺に転がるテメェらの仲間みたいに痛めつけるぞ」
河野の笑いに苛立った様子の修が、冷笑を携えながら言う。
「仲間?…あぁ、あの弱っちい奴らの事ね。別に仲間ってほどでもないけど。てか弱すぎて破門でしょあんな奴等」