乱華Ⅰ【完】
「…なんか疲れてる?」
「うーん。まぁ、ね」
正宗はすぐメガネをかけて、コーヒーを飲み出した。
暫くしーんとした空間が広がったけど
「…そういえば心ちゃんって勉強できたんだね?」
思い出したように失礼な発言をしてきた。え、それってどうゆう意味ですか?
こんな髪の明るい女はバカにしか見えないって言いたいのか?
「一応さ、うちの学校のテスト簡単って言っても稀に難しい問題入ってるんだよね?心ちゃん3位だったでしょ?だから頭いいのかなーって…」
正宗はそこで切って、あの瞳を向けてきた。あの、探る目。
…正宗は今私を探ってる。
どこから来たか。
「…普通だよ」
だけどごめんね。
あそこに繋がる事は教えられないの。
いや教えない。
それもこれも自分の為。
弱い自分を引き出されたくない。
「…そう」
無意識に握った胸元のネックレス。
その動作を正宗はただ黙って見ていた。
それからは当たり障りのない会話をして、正宗は鳴った携帯を耳に当てて幹部室を出て行った。
1人で幹部室にいるとなんか取り残された感がすごい。
なんだかなー…
私はソファーの背もたれに両手を投げ出して、ずるずるとそこに沈み込んだ。
最近いろいろありすぎて、なんか一気に疲れた。
だんだんと重くなる瞼に、あ、ヤバいと思った時には既に夢の中に片足突っ込んでて、そのまま落ちるかのように意識を飛ばした。