乱華Ⅰ【完】
〜side.蓮〜
12月のクソ寒いこの時期。
なんっでこんな所にいなきゃいけねぇんだよ、とタバコの煙を吐きながら思った。
白い煙が風に乗って大気に散りばめられる。それと同時に鼻を掠める潮の香り。
目の前の海がうねうねと荒い波を立てて岩肌にぶつかる様を眺める。
…正直マジで寒い。俺死ぬ。
ねぇ、お前らは寒くねぇの?
と、一緒に呼び出された奏多と碧に視線を向ければ…やっぱ寒そうだわ。
俺は首に巻いたマフラーをこれでもかと、首に強く巻きつけて視線の先にいる黒髪金メッシュの男を見た。
そいつは寒さも感じていないかのように無表情で、だけどその眼光だけは鋭かった。
「…あのさー俺らは中には入れねぇの?」
「先に話しておく事がある」
「…陽炎の事だろ」
「そうだよ〜」
碧が確信的に断言すれば、今までいなかった修が寒そうにしながら手に息を吹きかけながら現れた。