乱華Ⅰ【完】
まぁ陽炎の事だろうなってのはわかってたけども。
あの日裏でいろいろと駆けずり回されたし、アバウトには聞いたけどちゃんとした報告も聞いておきたい所だ。
「…いきなり現れるのはやめて下さい。心臓に悪いですから」
「いや、奏多全然びっくりしてねぇじゃねーのよ」
奏多が言えば修はわざとらしく肩を竦めて、ケラケラと笑う。
それについては同感だ。
奏多はポーカーフェイスだからか、全く吃驚した素振りがなかった。
俺と碧なんかあからさまに肩が跳ねたっつーのによ。
修はひと笑いした後口が寂しくなったのか、タバコを取り出しそれに火をつける。
…人の事は言えねーけど、コイツ吸いすぎだろ。俺の倍は吸ってんじゃねーのかと思うくらい、修はいつもタバコを吸ってる。
…ま、それが修のトレードマークでもあるんだが。
「…で?中に入れねー理由と奴らの事は?」
関係のない事を考えてる俺の横にいた碧の緩い黒髪から覗く鋭い目つき。