乱華Ⅰ【完】
「まぁ、タクの事があるからな。アイツには聞かせたくねぇんだろ。本人が」
…それは失踪してた時の事か。
アイツもねぇ〜いろんなもん背負ってるからなぁ。
淡々と話す颯人の方が背負ってるものは大きい気がするが。
それは俺が決める事じゃねぇし。
まぁ、タクが悪いわけじゃねぇんだけど。
「…そゆこと」
円になって話だした俺たちの後ろから声をかけてきたのは、まさに今の話題のタク。
相変わらずのオレンジは、こいつのチャラい見た目を更に引き立たせる。
「あの時俺は、自分の怒りをぶつけるようにして陽炎の溜まり場を潰して回ってた」
「…らしいですね。大丈夫でしたか?」
「あぁ、心配かけたな。もう大丈夫だ」
荒れてたにしろ1人で陽炎の奴らを何人も潰すってとんだ化け物だな。
そして、その荒れた原因が心。
つーかシンクロしたんだろう。あの時と。
「壊滅状態の所が何カ所かあるんだろ?やるなら今じゃねぇのか?」
「そのつもりだったけどな、それはまだだ。俺のせいでこうなっちまったけど、わかった事もある」
俺の言葉に一瞬顔を顰めたタクは、ニッと笑ってバトンタッチと言わんばかりに颯人を見た。