乱華Ⅰ【完】
「…陽炎は、どうも心の“何か”を知ってるみてぇだ」
「…何かってなんだよ」
誰もが思った疑問をいち早く返したのは、眉間にシワを寄せた碧。
「…例えばどこから来たか、とかか?」
それに一瞬考えるそぶりをした颯人は疑問口調にも関わらず、どこか確定的に答えた。
「正宗でさえも特定できなかったのに、ですか?」
「そうなんだけどよ〜あの河野の口ぶりからそんな感じなんだよなぁ…」
河野と言えば陽炎のブレーンであり、副総長の男。
俺からしたら、なんであんな頭のキレる男が陽炎なんかにいるのか疑問な所だ。
「で、その河野と本間がどっかの族と関わってんのがわかったんだよ」
「「はぁ?」」
「どういうことです?」
俺たち3人の声が見事に重なった。
つか、何だソレ。
あんな汚ねぇ手段取る族と関わる族って、よっぽど質悪そうだな。
「ここら辺では見ない奴らなんだけどね。そこと手を組んでたとしたら、今潰しにかかって返り討ち…なんて事もあるかもしれないからね。まずは情報収集しとかないと」
声がした方に向けばニコリ、全く楽しくなさそうな笑顔を貼り付けた正宗が眼鏡をクイっと持ち上げていた。
これで司以外の乱華幹部が揃った。