乱華Ⅰ【完】
正宗の言葉にそれはないだろう、と言い切れないのがアイツらだ。
卑怯卑劣。
何でもありな危ねえ奴らだからな。
それに俺たちが数で勝ってても、その族が未知数。何があるかわかんねぇ。
正宗の言うとおりまずは情報収集からだ。
「正宗、アイツは?」
タクの質問に苦笑いした正宗は、「寝たよ」答えて珍しくタバコに火をつけた。
つー事はまた暫くは情報収集っつー事で、忙しい日々が続くわけか。
…俺3年なのに卒業できる気がしねぇんだけど。
ハーとため息を吐いたと同時
「…心ちゃんって本当ガード固いよ」
独り言のように呟いた正宗が吸っていたタバコを地面に放り投げ、靴底でグリグリと押し付ける。
「アイツのガードの固さは俺の色仕掛けでも崩せねぇわ〜」
「…お前、あいつに拒否られてたじゃねーかよ」
「お前は遊ばれてたくせにな」
ハッと鼻で笑うタクに修はいつもと違って間延びしてない声で言って、タクの首に腕を巻きつけていた。
「っウルせぇ!」
何を思い出したのか、頬を赤らめたタクには喧嘩の時のような怖さは微塵も感じられなかった。
…つーか話が脱線してる。
あのバカ2人のせいで。
ふぅと誰にも聞こえないくらい小さく息を吐いて正宗に視線を戻した。