乱華Ⅰ【完】
「…データが出ないのもおかしいし、口も固いし、聞き出そうとして躱されちゃったからね」
「…どこから来たか?」
俺が聞けば正宗は、そうだよと言わんばかりの笑みを見せた。
それと同時に碧が口を開く。
「…あのさ、言おうか迷ったんだけどよ」
「なんだ?」
颯人が心のいる幹部室から、碧に視線を向ける。それと同時に修以外の全員が碧に視線を向けた。
碧は言うのを躊躇ったように、視線を2、3度俺らに向けてから口を開いた。
「…俺、あいつとどこかで会った事ある気がすんだよ」
「…どこかって?」
一瞬驚いた正宗が冷静を装って聞いている。
多分あれだな。
自分がこんなに探って何の手がかりもなかったのに、まさかの碧からの情報提供に動揺してる。
「多分…どっかのパーティーと、思うんだけど…ごめん。自信ねーわ」
パーティー…?
パーティーっつー事は…
「じゃぁどこかのご令嬢って事に、なるんですかね?」
その言葉にこの場にいる全員が視線を落として考え込む中、最初に声を発したのは奏多。