乱華Ⅰ【完】
「…お酒……?」
何で記憶が飛んだかって聞かれたら答えは1つしかないと思う。
確か、浴びるように飲んだのはビール。
だって元々ふらふらだったわけだし、走って酔いが回ったわけだし…?
「お前はさ〜転入生なワケだろ〜?」
修が灰皿にタバコを押し付けて私の髪の毛をくいっと引っ張った。
「…はぁ」
「んじゃぁ教えてやるよ。イロイロと」
私に向かってウィンクした修にはピンクオーラが漂っていて、修の言うイロイロとやらは、勘弁してもらいたいと思った。
「…とにかくだお前は陽炎に狙われてんだよ」
「…は?」
何、その物騒な物言い。
私はただそう言った颯人をぼけーっと見ていた。
多分口は開いていたと、思う。
だって隣でタクが「口閉じやがれ!」って言っていたから。