乱華Ⅰ【完】


差し出された携帯には金髪…いや金を通り越した白髪?の男の画像。



見るからにアチラの世界の住人のような顔をした男。
狂気に満ちた不気味な笑みを浮かべた画面の中では、誰かを殴っていた。



明らかな隠し撮りと思われるそれ。



「本間省吾…陽炎の総長だ」



……。
………。
…………。



「そう…ちょ、う…?」



聞き慣れない言葉に我が耳を疑った。



「そーだよ総長だっつってんだろさっきから」



いや、言ってない。
一言も総長なんて言葉は聞いていない。
なんでタクが呆れ顔になっているのかがわからない。



「恐いもん知らずだとは思ったけどよ〜オメーは一体どこから転校して来たワケよ?」


「…遠い所」



こんな他人に詳しい場所まで話す気は、ない。



修は「あそ」と自分から聞いた割には興味がないのか、ジッポをカチン、カチンと開けたり閉めたりしていた。


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