乱華Ⅰ【完】
露わになった肌が冷気に晒され、やけに寒く感じる…
落ち着け、私…
まずは状況を把握しよう。
バタバタと抵抗をしながらも視線を右に向ける。
ダメだ行き止まり。
左…は見るまでもない。
赤髪が見張ってる。
でもこちらは向いていない。
…電話してる…?
あの赤髪は見張りとしてどうなのかと、頭の片隅で考えてる私はまだ余裕があるのか、なんなのか。
とりあえず、一か八か…やるしかない。
ピタリと抵抗するのを止めて、坊主頭の首に腕を回す。
気持ち悪いな…
「なんだやっぱお前も…ッ…」
それにイヤらしい笑みを浮かべた坊主頭にニコリと微笑んで、油断させ―…股関を思い切り膝で押し上げれば、悶絶してしゃがみ込んだ。
ざまぁみろっ!!
未だにこちらに気づかない赤髪。
電話に夢中なのかなんなのか…やっぱりあいつ見張りの意味ねぇな…
少し呆れながらも、唸る坊主頭の顔を蹴り上げて、地面を強く蹴った。
勢い良く走る私に瞬時に振り向く赤髪。
赤髪は一瞬目を見開いていたけど、もう遅い。
そのままの勢いで赤髪にタックルして押し退ける。
カシャーンと携帯が地面に落ちた音が聞こえた気がした。