乱華Ⅰ【完】
fifth
ジリリリリという不快な機会音で目覚めた私は、ぼーっとしたままその音の発信物、時計を見ていた。
「…8時前か…」
温かいベッドの中からのそのそと起き上がれば、ひんやりとした空気。
必要以上に物がないここは、まぁ一言で言えば殺風景。
顔を洗って身支度を整えて、コーヒーを淹れれば、鳴りだす携帯電話。
「さっさと降りて来い」
その一言で電話はすぐに切られた。
なんで携帯の番号知ってんの?とかなんで迎えに来てんの?とかまぁ疑問はあったんだけど、とりあえずは、素直に従う事にしようと思う。
無駄に広い玄関で、まだ履き慣れないローファーを履く。
いってきますを言った所で返事が返ってくることはないから、無言で玄関を後にした。