乱華Ⅰ【完】
「着きました」
その声でハッとした私はどうやら寝ていたらしい…
運転席には昨日と同じ、龍の刺青が立派なお兄さん。
…極力見ないようにしようと思う…
恐いから。
「ありがとうございます」
お礼を述べて、昨日ぶりの広陵高校。
タクに続き車から降りれば突き刺さる様な視線に曝された。
スタスタと歩くタクと正宗。
背後からはゆったりと歩く颯人…
私はその中間にいるワケだけど、グサグサと刺さる視線が何とも痛い。
一定の距離を保ちながらも、こちらを窺う生徒達。
つまり、私達の周りには誰もいない。
転校2日目にしてこの目立ち様…
ほんっとなんでこんな事に……
あちらこちらでヒソヒソと囁き合っていて「なんで」とか「あの子何」とか、明らかに私の事を言っているのが僅かに聞こえてきていた。
それはあまり気分のいいものとはいえなくて。
カラフル頭な男子は「おはようございます!」とか言いながら頭を下げているけど、はっきり言って私にはどうでもよかった。