乱華Ⅰ【完】
教室までの道のりも遠巻きに視線を感じて、居心地が悪かった。
ずっと私の前を歩くタクと正宗も、私の少し後ろを歩く颯人も、同じ2年の廊下にいる。
「…ねぇ」
私が誰に問いかけるワケでもなく呟けば、一層集まる視線。
「なんだよ?」
うざったそうに振り返ったタクは、視線だけを私に向け、正宗も一瞬私に振り返った。
「みんな何組…なの?」
2年の廊下にいるんだから、正宗も颯人も(信じられないけど)2年なんだと思う。
「心ちゃんと同じクラスだよ」
正宗がそう言ったと同時に着いた2年G組の教室。
まさかの同じクラス。
てっきり同じクラスなのはタクと修だけかと思っていた私は、内心吃驚していた。
こんなヤンチャが集まるクラスってどうなのと疑問にさえ思う。
裏で誰かが糸引いてんじゃないの?と思ったけれど、それは口にしないでおいた。
その予想が当たっている気がしてならなかったから。
正宗がドアを開けて、タク、私、颯人と続いて教室に入れば、騒がしかった教室がシーンと静まり返った。
だけどそれは本当に一瞬の出来事で、またすぐ各々話だし、元のざわめきに戻った。
「おはようございます!」と既に今日何度目になるかわからない挨拶が飛んでいた。
私はそんなカラフル頭を横目にしながら、一直線に自分の席、窓際の一番後ろに腰掛ける。