乱華Ⅰ【完】
なんだか昨日より教室に人がいる気がする。
改めてクラスを眺めて思ったのは、どうやらこのクラスは女子より男子が多いらしいという事。
カラフルな頭の彼らはタクと話していて、女子はそんな彼らをキラキラとした目で眺めていた。
「修が来たら起こせ」
私の隣に座ったのはまさかの颯人。
私に命令して一人さっさと机に突っ伏しやがった。
「颯人昨日あんまり寝てないんだよね」
私の前の席に鞄を置いた正宗は、ははっと乾いた笑みを漏らして「じゃぁ俺はちょっと出るから、後よろしくね」と颯人を指しながら続けて、携帯片手に教室を後にした。
よろしくなんて言われても…困るんですけど。
チラリ横を見れば既に規則正しく上下する背中が見える。
寝るの早ぇなオイ。
寝てないらしいけど、それにしても早すぎる。
こんな騒がしい教室内で、教室内をぼーっと眺める私と寝ている颯人だけが、別空間にいるかの様な感覚になってしまった。
不意に見た窓の外は綺麗な秋晴れで、颯人に倣って机に突っ伏した私はその嫌味なくらいに晴れた空を眺めていた。
蒼い蒼い空を。