乱華Ⅰ【完】
「…カ」
「…き…な」
「おいっ!!」
パシンッ
「…ったぁ……」
頭に衝撃が走ったと同時に、目が覚める。
目の前にはタクと何故か司がいて、その表情は呆れているように見えた。
タクは手をぷらぷらと翳していて、その手が私を叩いたのかと思うと、自然とタクを睨みつけていた。
「いつまで寝るつもりだテメーは!」
キーンと耳に響く声を発した司は、やっぱり顔と口調が噛み合っていない。
「…あ、颯人…」
そういえば修が来たら、起こせとか何とか言っていた気がしたなと思いながら隣を見れば、そこにはもう颯人の姿はなかった。
…というより、この教室には私とタクと司しかいなかった。
「颯人ならもう、先行ったわ」
「…ていうか、他の人達は?」
「はぁ?タク、やっぱコイツバカなんじゃねぇの?」
私を思いっきり指差しながら暴言を吐く司をそろそろ殴ろうかと思う。
「もう放課後だ」
はぁっと溜め息を吐きながらタクが答えたのを聞いて、慌てて教室に設置してある時計に目をやった。