乱華Ⅰ【完】


校門には朝ぶりの黒塗り。
助手席には、一足先に行ってしまった司が乗っていた。



「倉庫でいいんすか?」


「おぅ」



龍が立派なお兄さんは、私をチラリと見て、タクに視線を向ける。



さも当たり前の様に答えたタクは、視線を携帯に向けて何やら操作していた。



「私も?」


「当たり前だろ」



当たり前なんだ…
視線を携帯に落としていたタクはパチンと携帯を閉じて私に視線を向ける。



「お前、家帰って大人しくしてるか?」


「………はい?」


「テメーは家に帰って、一歩も外に出ねぇのかって聞いてんだよ」


「いや、出るでしょ」



いきなり何言ってんの?
普通に考えて、こんな昼間から家に引きこもるわけがない。



食材も買わないと、冷蔵庫には何もないわけだし。



答えはNOに決まっている。


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