乱華Ⅰ【完】
「だからだよ」
「…はぁ?」
「お前にまた繁華街でもウロつかれて、何かあったら俺が颯人に殺されんだよ」
「はぁ!?」
「俺はテメーの護衛なんだよ、クソバカ」
タクはイライラした様子で、煙草に火をつけ煙を吐き出す。
しかも私に向かって。
「ちょっと煙いんだけど
しかも何回もバカバカ言うな!」
あまりにもムカついたからタクのオレンジ頭を、思いっきりひっぱたいてやった。
バランスを崩したタクは、華麗に煙草の火を自分の手に当てて「アッチィ」ぼやく。
それを横目で見て、ふふんと鼻で笑えば「テメッ犯すぞ!」ズイッと迫るタクの顔。
「はぁ?別にヤりたいならヤれば?私アンタとならできるよ」
至極真面目に答えた私に対して、顔をボッと赤くしたタク。
助手席と運転席からは、微かに笑みをかみ殺す声が聞こえる。
「…純情」
狼狽えるタクにボソッと呟けば、ブハッと噴き出した音が前方から聞こえた。