乱華Ⅰ【完】
「別に可哀想とか思わないでよね」
友達なんて、いらない。
顔色を窺いながら生きるのは、もう嫌なんだから。
ぎゅっと握った手は制服のスカートを掴んでいて、気付けばシワになっていた。
テーブルに置かれたジッポから視線を上に上げれば、ほらまた…
颯人の射るような瞳。
その漆黒に呑まれそうになる。
しばらく室内は沈黙だったけど「さぁ〜てメシ行くか〜」この空気を崩したのは、やけに間延びした声の修だった。
「…そうだな、颯人」
「あぁ」
正宗はハッとした様子で颯人を促すと、颯人は私から視線を逸らせ、デスクから立ち上がる。
2人はそのまま先に部屋を後にした。