乱華Ⅰ【完】
「和真さん、奥いいですか?」
「あ?あー別にいいぞ?どーせ奥はお前らみたいなのしか使わねぇからなぁ」
正宗は金髪の彼、和真さんに軽く頭を下げて「心ちゃん、こっち」店の奥まで案内してくれた。
案内されたのは一つの個室。
障子のドアを開ければ20畳くらいの畳張りのそこ。
真ん中に漆塗りのテーブルが設置されていて、それを囲う様にある座椅子。
壁に掛かる掛け軸とちょっと高そうな壺。
そして脇には間接照明が置いていて、ここは居酒屋というよりは料亭に近い気がした。
正宗に促されるまま、彼の隣に座る。
その横には颯人が座り、正宗の前に修、その隣にタク、その隣に司という順番で座っていた。
「はい心ちゃんメニュー」
正宗からメニューを受け取り、開く。
お冷やを持ってきた和真さんに、他の人は既にそれぞれ注文をしていて
「……」
「…どうした?」
既に注文が終わったのか、颯人が私に問いかける。
「……」
「どれにする?」
沈黙の私を見かねた正宗が、私の顔を横から覗く。