乱華Ⅰ【完】
そんな和真さんを無視して次は正宗が口を開く。
「俺らといて何も思わなかった?」
「いや、だからうるさかったって言ってんじゃん?」
発した声が少し低かったのは、私の機嫌が悪くなってたからだと思う。
何?
他に何の回答を求めてるわけ?
「お前ってやっぱ恐いもん知らずだな」
前方タクは、私の顔を見てもう何度目になるかわからない呆れを含んだ顔。
もうその顔いいってば!
「心ちゃん俺が昨日話した内容覚えてる?」
「乱華と陽炎でしょ?」
「あーうん。そうだけど…」
「正宗が説明し辛いなら、俺が代わりに説明してやるよ」
やっと笑い終わったのか、和真さんはうっすらと目に涙を浮かべて、私と正宗の問答に割って入ってきた。