乱華Ⅰ【完】
「帰りたい」
もう一度呟けば、ポン私の頭に不器用に置かれた手。
ぐしゃり、ぐしゃり。
ぎこちなく手が動く。
「おま―…」
タクが声を発したと同時に、ガラリ、後ろの扉が開く音がした。
そこで私もタクもハッとして、タクは私から手をさっと退ける。
「2人でなーにやってんのかな〜?」
ヘラリヘラリ。
笑いながらタクの肩に手を回したのは修。
「何もしてねーよ」
そんな修の手をパシリ、払いながらタクはうざったそうにオレンジの前髪をかき上げた。
ハラリ
視界の端に映った自分の髪。
ハニーブラウンを見て、私何やってんのと、自嘲的な笑みが漏れた。