乱華Ⅰ【完】
てっきりみんな来るんだと思っていたけど、車には私と正宗と龍のお兄さんだけ。
そのまま待つ事なく発進した車。
え?
「…正宗?」
「んー?」
困惑しながらも呼べば、助手席から振り返った正宗は、いつものエセスマイル。
携帯片手にカチカチ何か操作している。
いや、てか…
「んー?じゃなくて…みんなは?」
「行動が早いよねー」
「うん?」
正宗は私が投げた質問の答えには程遠い事を言った。
「堂々と表に出てくるってどーゆう事だろう?」
「……は?」
振り返ったまま。
エセスマイルのまま。
目は笑っていない。
ゆらゆらと怒りが見えますけど…
怖いんですけど…
意味、わかんないんですけど。
「いたんだよ」
「何が?」