乱華Ⅰ【完】
seventh
倉庫に着いた瞬間から空気は異様だった。
バイクがズラリ並んでる。
どことなく殺気立ったカラフルな頭の奴ら。
よく見ればかすり傷や、擦り傷が見える。
「あっ正宗さん!」
正宗に気付いた1人がパタパタと小走りで私達の前に駆けてきた。
なんか、子犬みたいな子。
茶金のウルフカットだけど、狼には到底見えない。
「瞬、颯人は?」
瞬って名前なんだね、と正宗の横で彼の名前をインプット。
族とかよくはわかんないけど、似合わないなぁ、とか思ったり。
「あ、あっちっス」
そう言った瞬はさっきまでいた2階の倉庫と対面する倉庫を指して、苦笑い。
「生きてる?」
何その物騒な質問!!!
正宗は眼鏡をクイッと持ち上げて、瞬が指す倉庫に一瞬目を向けて、瞬に再び目線を戻した。
「大丈夫っス。なんか変な事言ってんスよね…」
「変な事?」
「はい…」
「おい!!」
正宗と瞬の会話を遮る様に、突然響いた声。
声の方に視線をやれば、颯人がいるという倉庫からタクがズカズカと歩いてきた。
機嫌悪そうだね…