乱華Ⅰ【完】
私の前に立ち腕を引いたかと思えば、再び倉庫に向かって歩き出した。
「ちょ…痛い!」
ギリッと握られた腕が痛い。
だけど、タクが立ち止まる事も、腕の力を弱める事もなかった。
後ろを振り返れば正宗が着いてきていて、首を横に振っていた。
ヤレヤレと。
ヤレヤレじゃねぇよ!
助けろよ!!
そのままグイグイとタクに引っ張られて、倉庫の中に足を踏み入れてしまった。
「…」
なに、ここ…
いや、てゆーか…
だだっ広い部屋。
周りにはバイクとか、車とかがあるけど―…そんな事よりその中心。
数十人が縄で縛られている。
気を失ってるのか、ぐったりとした人達の中―…
「さっさと離せや!」
1人だけ威勢のいい輩がいた。
その人達を囲うように、数人のカラフルヤンキーと修、司、颯人。
全員が冷めた目で、その喚く人物を見下ろしている。