乱華Ⅰ【完】
颯人がツイっと私に視線を向けた。
射るような、瞳。
「…………。」
何………?
ジッと颯人を見返そうとした。
だけど私の前にタクと正宗が来て、その背中に私は隠される。
「テメェらなんか省吾さんに殺されるんだよ!さっさとあの女渡せや!」
………あの女って…
……私、だよね?
「オメーは自分の立場がわかってねぇのか〜?」
修がタバコを吸いながら、喚く男を蹴る。
…容赦ないね。
ウッと苦しそうな呻き声を上げた男はそれでも話続ける。
「省吾さんは最強なんだよ!お前らもう終わったんだよ!!さっさと出せあの女!!!」
「…最強?」
「……出せ?」
司と颯人の声が聞こえた。
意味が、わかんない。
何で私はここに連れてこられた?
出せって私は物かよ。
「そーだよ!必要なんだよ!あの女が!!」
ガンッ
「お前もう黙れ」
低い颯人の声が、聞こえた。